斉木武志

Activity活動報告

原子力発電所立地地域の振興に関する特別措置法の10年延長が可決

本日の衆議院本会議で、原子力発電所立地地域の振興に関する特別措置法の10年延長が可決されました。税優遇の対象を広げた上で早期に延長するよう昨年の国会質疑から求め続けていた法案であり、年度末ギリギリですが無事通過したことに安堵しています。
今回の法案審議においては、私から修正案を提起しました。
●東日本大震災と福島第一原発事故により、原子力産業を取り巻く状況が大きく変化し、立地地域にも様々な影響が生じている
ことを第一条の目的規定に加え、福井県や敦賀市が「嶺南エネルギーコースト構想」や「ハーモニアスポリス構想」等で強く要望している
●水素や再生可能エネルギーなどの新エネルギー関連産業を税優遇の対象に加え、企業誘致を進めることです。
2/15の予算委委員会集中審議で、原子力発電所の新設やリプレースを認めるかどうか菅総理に直接問いましたが、「新設やリプレースは想定していない」と二度にわたり明確に否定されました。敦賀市など立地自治体が「豊田市におけるトヨタ自動車と同じ」と位置付ける主力産業において、施設が古くなっても建て替えは許さない、新しく建設することもダメだと言われては、将来を見据えて新たな稼ぎ頭も育成していかなければと立地自治体が模索するのは当然です。実際嶺南6市町と関西電力が組んで、水素を軸とした仮想発電所(VPP)の実証拠点が敦賀市で年末に動き出しました。自然エネルギーの鍵である出力の平準化や需要に応じた送電を可能にするITシステムの開発支援等も敦賀市は国に要望しています。またオーストラリアと日本が官民あげて取り組んでいる石炭を水素化し日本で発電事業等に生かす「日豪褐炭水素プロジェクト」へ、輸入港や水素発電、水素の陸送拠点として参入したいとも要望されています。
内閣委員会の審議で政府・自民党側は条文修正を拒否しましたが、法案の附帯決議において
●新エネルギー源の利用に関連する産業の振興に関しても十分に配慮すること
●立地地域においても新エネルギー源の拡大に向けた施策のあり方を総合的に検討し、必要な措置を講ずる条項
を盛り込むことができました。立地市町や県が求める新産業の育成に資する決議であり、修正案を提案した大きな成果だと考えています。
本日の本会議では私は採決を欠席しました。2期目にして初の採決欠席です。福島原発事故が起きたことすら条文で認めない政府の姿勢は容認しがたいとして党は反対しましたが、私は附帯決議で一定の果実を得られたこと、何よりも学校や道路、企業の固定資産税などの税優遇は立地地域に必要不可欠であるとの観点から、修正案が否決されれば原案には賛成すべきとの立場でした。ただ党の結束を乱すわけにはいきません。政調会長など党三役とも協議の上、欠席することで法案の衆院通過を図ることにしました。
修正案で地元も要望する理想形を示し、与党が数の力で否決すれば地方と国の現実の利益を優先し決断する。これが政権を狙う野党第一党の姿だと思います。この点は今後更に党内で議論を深め、現実と切り結ぶ成熟した集団へ成長させていくつもりです。
これから10年先を規定する重要法案だったので、長文になってしまいました。ご容赦!